2017年06月05日
スープ一杯の幸せ気分

感性の高い人なら、テーブルに運ばれた一杯のスープを一口味わうだけで、その店のレベルがわかるそうです。
食べ物の価値基準はおいしいかどうか。
高価な食材を揃えて、快適な厨房で、腕の立つ調理人にまかせれば、最高に美味しい料理ができるでしょう。
でも正直なところ、いまの私たちの店には高価な食材も、快適な厨房設備も、最高の腕を持つ料理人もまだいません。
だとすればどうするか?
今できることを精一杯やるしかない。
最近わかったことですが、人は味覚と嗅覚だけじゃなくて、目や耳や肌、すべての感覚を動員して食べ物を味わっています。
たとえばスープ1杯を注ぐ時にも、テーブルにお運びするときにも、「最高の一杯を提供したい」という思いがあるかどうかをお客様は敏感に感じとる。
じつはこれも美味しさを感じる大切な要素です。
おいしい料理は厨房で働く人だけが作るんじゃなくて、ホールスタッフも含めて店全体で作るもの。
店に一歩入った時に響く「いらっしゃいませ!」の声。その瞬間から料理の味は作られているんです。
飲食業という世界は謎だらけだけど、だからこそおもしろくてやめられない。
これからも永遠に楽して得する仕事にはならないことはわかってるのに。
Posted by chayastaff at 09:48│Comments(0)